業界調査2022年11月29日

『ファン度』に関する業界調査 第2弾

業界調査 『ファン度』に関する業界調査 第2弾

ファンベースカンパニーは、さまざまな業界の企業や団体、地域と伴走する中で「ファンの感情の段階をより細分化して捉えることが必要」と考え、2問のアンケート設問からファンを「コアファン/ファン/ライトファン」に分類する『ファン度』を開発しました。現在、多くのプロジェクトにおいて、中長期的にファンと向き合うための一つの指標として活用しております。

また、ファンベースカンパニー内に設立された「ファン総合研究所」では、『ファン度』やファンの心理・行動について、業界ごとに特性や傾向があるのかを知るために「『ファン度』に関する業界調査」を実施しております。
初回は22業界188ブランドの『ファン度』を調査しました。(※2022年4月に発表。以下「第1弾調査」と表記。)第1弾調査結果を受けて、一般消費財を中心とした7業界47ブランドに対し、ファン度ごとの利用金額と利用頻度、満足度・NPS (ネットプロモータースコア)・ブランドに対して感じる価値や意向について追加調査を行いました。

結果サマリー

1.ファン度が高まるほど利用金額・利用頻度・満足度・NPSも高くなる

■ 調査対象7業界:菓子、コンビニエンスストア、家電、化粧品、ビール、清涼飲料、ファーストフード
今回調査した7業界において、ファン度が高まるほどブランドの利用金額・利用頻度・満足度、そしてNPSのいずれも高くなることがわかった。 NPSは7業界の平均では「コアファン」と「ライトファン」の間には78ポイントもの差があり、化粧品以外の6業界でコアファン・ファンでプラスのスコアになった。ファン度が高まると、ブランドに対する感情が高まるだけでなく、購買や推奨などの「行動」にも移していることが明らかになった。

ファン度ごとの利用金額・利用頻度、満足度・NPS

※利用金額・利用頻度は「他のブランドに比べてよく買っているかどうか」を6段階で聞いた意識調査

2.ファンの割合が高いブランドは、ファンに「価値」が伝わっている

各業界内でコアファン・ファンの割合が高いブランドの傾向を見ていくと、そのブランドが築いてきた様々な「価値」をコアファン・ファンが感じ取っていることがわかった。
例えば菓子業界内でコアファンとファンの割合が1位の「ブルボン」は、業界平均と比較して機能価値・情緒価値のスコアのほとんどが上回っていた。特に機能価値の「品質」「価格」、情緒価値の「共感」「無二」といった項目が高く、コアファン・ファンにとって「価格に期待する以上に上質で、共感できる特別な存在」になっていることが見受けられた。

価値における菓子業界平均とブルボンの比較

※調査概要については後述

その他にもコアファン・ファンの割合が高いブランドは、機能価値だけでなく、情緒価値・未来価値もファンが感じ取り、単なる商品や店舗を超えた大切な存在と捉えられているケースが多かった。これらのことから、ファンの割合を増やし、長期的な関係を続けていくには、そのブランドが持つ価値を高め伝えていくことが重要だと考えられる。

調査概要
  • ■調査時期:2022年4月~5月
  • ■調査方法:インターネット調査(楽天インサイト)
  • ■回答者属性:全国、20歳~69歳、男女
  • ■有効回答数:5,522
  • ■調査対象業界・ブランド数:7業界47ブランド(ブランドリストは文末に記載)

■留意事項:
※ブランドを認知しており、自身が過去2年以内に実際にサービスや製品を利用した経験がある男女
(業界ごとの有効回答者数は文末に記載)
※コーポレートブランドで調査

調査結果詳細
コアファン+ファンの割合 1位のブランド 菓子:ブルボン/コンビニエンスストア:セイコーマート/家電:ソニー/化粧品:資生堂/ビール:アサヒ(ビール)/清涼飲料:コカ・コーラ/ファーストフード:マクドナルド

上記7業界において、業界ごとの「利用金額・利用頻度」と「満足度・NPS」、及び業界内でコアファンとファンの割合が1位のブランドの「価値」から推測する、「ファンにとってそのブランドはどのような存在か」という点について、傾向をまとめています。

菓子業界

<業界平均>

ファン度ごとの利用金額・利用頻度、満足度・NPS

<コアファン+ファンの割合1位のブランド>

『ファン度』に関する業界調査 ファンの割合1位のブランド ブルボン

※第1弾調査結果より抜粋。有効回答数(菓子業界): 41,622

ブルボンを「好きな理由」
(フリーアンサー抜粋)
  • ・「子供の頃から食べ慣れていて変わらない味わい。
    手頃なお値段で高級感のあるお菓子が多いところ」
  • ・「おしゃれで懐かしいから大好き」
  • ・「ブルボンの商品ははずれがない」
  • ・「ブルボンのお菓子を食べるとみんな幸せになる。
    ブルボンのお菓子は値段とクオリティから考えて海外でも高く評価されると思う」
ファンにとってのブルボンの「存在」
(価値分析・フリーアンサーより)

機能価値・情緒価値のほとんどが菓子業界平均と比較して上回っていた。特に機能価値の「品質」「価格」、情緒価値の「共感」「無二」といった項目が高かった。また、フリーアンサーでは『母』『おばあちゃん家』『美味しくて楽しくていつもそばにある家族』『ホッと出来て幸せをくれる』など、懐かしく代替の利かない存在を想起させる回答が多く見られたことを考慮しても、コアファン・ファンにとって「価格に期待する以上に上質で、共感できる特別な存在」になっていることがうかがえる。

コンビニエンスストア業界

<業界平均>

ファン度ごとの利用金額・利用頻度、満足度・NPS

<コアファン+ファンの割合1位のブランド>

『ファン度』に関する業界調査 ファンの割合1位のブランド セイコーマート

※第1弾調査結果より抜粋。有効回答数(コンビニエンスストア業界): 65,721

セイコーマートを「好きな理由」
(フリーアンサー抜粋)
  • ・「地域密着型のイメージ」
  • ・「地域に根ざしている企業」
  • ・「他のコンビニとは違い営利第一主義じゃないと思う」
  • ・「商店のような温かみがある」
  • ・「顧客に対してしっかり向き合ってくれている」
ファンにとってのセイコーマートの「存在」
(価値分析・フリーアンサーより)

情緒価値、未来価値のほとんどの項目で業界平均を上回っていた。特に、情緒価値の「愛着」「信頼」「熱狂」「無二」、未来価値の「貢献」「希望」などの項目が高かった。また、フリーアンサーでは、『地域密着型』『地元で奉仕活動など貢献している』『必要不可欠』など、ローカルブランドとして愛されている様子がわかるコメントが多かった。よって、セイコーマートはファンにとって、「親しみがあって信頼でき、生活に根付いた欠かせない存在」、さらに「地元を支えてくれる存在」として、深い関係を築いていると考えられる。

家電業界

<業界平均>

ファン度ごとの利用金額・利用頻度、満足度・NPS

<コアファン+ファンの割合1位のブランド>

『ファン度』に関する業界調査 ファンの割合1位のブランド ソニー

※第1弾調査結果より抜粋。有効回答数(家電業界):86,609

ソニーを「好きな理由」
(フリーアンサー抜粋)
  • ・「ウォークマン、プレイステーションなど独創的で面白い商品を販売できているところ」
  • ・「プロダクトデザインが格好良い。銀行や通信など幅広い分野で技術力を活かしたサービスを展開している」
  • ・「洗練されたデザインと質の良さ。電子機器だけでなく音楽やゲーム、映画などにも強く、技術力に信頼感を抱いている」
ファンにとってのソニーの「存在」
(価値分析・フリーアンサーより)

機能価値の「品質」、情緒価値の「無二」、未来価値の「変革」といった項目が業界平均よりも高かった。フリーアンサーでも、『憧れ』『唯一無二』『最高峰』など特別な存在であることがわかるコメントや、『新しい刺激をくれる』『世界と戦える・世界に誇れる』などの未来価値を感じているコメントが多く、「品質への高い評価を基盤とした、世界に通用する特別な存在」として捉えられていることがわかる。

化粧品業界

<業界平均>

ファン度ごとの利用金額・利用頻度、満足度・NPS

<コアファン+ファンの割合1位のブランド>

『ファン度』に関する業界調査 ファンの割合1位のブランド 資生堂

※第1弾調査結果より抜粋。有効回答数(化粧品業界): 38,236

資生堂を「好きな理由」
(フリーアンサー抜粋)
  • ・「製品を開発して販売するまでの研究が信頼できるから」
  • ・「化粧品の入れ物やパッケージに高級感とセンスの良さがあり、
    使っていて幸福感を感じられるから」
  • ・「生き方まではつらつとできてきれいに暮らすことができるようになったと信じているから。
    『一瞬も一生も美しく』という広告が印象に残っていて、
    美しく生きたいと思う羅針盤になっている」
ファンにとっての資生堂の「存在」
(価値分析・フリーアンサーより)

機能価値の「品質」、未来価値の「変革」「希望」といった項目が業界平均を上回った。フリーアンサーでは、『日本の伝統』『歴史がきちんとある』などの回答の一方で、 『美の先端』『進化し続けている』といったコメントがあり、「継承」しながら「変革」しているブランドと捉えられていた。よって、ファンにとって資生堂は「上質で日本の伝統を継承し、未来への希望も与えてくれる存在」であると考えられる。

ビール業界

<業界平均>

ファン度ごとの利用金額・利用頻度、満足度・NPS

<コアファン+ファンの割合1位のブランド>

『ファン度』に関する業界調査 ファンの割合1位のブランド アサヒ(ビール)

※第1弾調査結果より抜粋。有効回答数(ビール業界): 32,672

アサヒ(ビール)を「好きな理由」
(フリーアンサー抜粋)
  • ・「やはり日本のビールといえばアサヒスーパードライだろうというぐらい、
    自分にとっては特別なビール」
  • ・「私の生きがいだしアフター5の楽しみを与えてくれるしその事しか考えてない」
  • ・「ブレることなく突き進んでいる姿勢が好き」
  • ・「洗練されたスッキリ感と、ビールのイメージを大きく変えた戦略が気に入っている」
ファンにとってのアサヒ(ビール)の「存在」
(価値分析・フリーアンサーより)

価値において全体的に業界平均を上回っていたが、特に情緒価値の「熱狂」「応援」、未来価値の「変革」が高かった。フリーアンサーでは『相棒』『人生の伴侶』『親友』など、身近で付き合いが深く、大切な関係を象徴する回答が多く、ファンにとって「日常に不可欠な深く愛せる存在」であり、同時に業界を牽引するイメージも持たれていることがうかがえた。また、 「父が飲んでいた」という趣旨の声も数件あり、家庭内でブランドが継承されている様子も見受けられた。

清涼飲料業界

<業界平均>

ファン度ごとの利用金額・利用頻度、満足度・NPS

<コアファン+ファンの割合1位のブランド>

『ファン度』に関する業界調査 ファンの割合1位のブランド コカ・コーラ

※第1弾調査結果より抜粋。有効回答数(清涼飲料業界):11,845

コカ・コーラを「好きな理由」
(フリーアンサー抜粋)
  • ・「味が唯一無二」
  • ・「炭酸飲料で一番なじみがあり、安定した価格とおいしさが良い。
    少しはしゃいだりパーティなどみんなで楽しめるのが好き」
  • ・「おじいちゃんとの思い出がある。幼い頃、両親に連れられ帰省。
    暑い夏に、自販機で冷えたコーラを一緒に飲んだのは忘れられない味」
ファンにとってのコカ・コーラの「存在」
(価値分析・フリーアンサーより)

アサヒ(ビール)同様、価値において全体的に業界平均を上回っていた。特に高い項目は、情緒価値の「愛着」「熱狂」「無二」、未来価値の「貢献」 「変革」「希望」であった。 フリーアンサーにおいても、『なくてはならない』『元気をくれる』など、「唯一無二で日々の活力を与えてくれる存在」であることを示す回答が多く、『社会貢献』『夢と希望を与えてくれる』といった未来価値を感じている回答も見られた。

ファーストフード業界

<業界平均>

ファン度ごとの利用金額・利用頻度、満足度・NPS

<コアファン+ファンの割合1位のブランド>

『ファン度』に関する業界調査 ファンの割合1位のブランド マクドナルド

※第1弾調査結果より抜粋。有効回答数(清涼飲料業界):11,845

マクドナルドを「好きな理由」
(フリーアンサー抜粋)
  • ・「季節限定の商品で楽しみにしているものがあり、その季節になるとワクワクしてしまう」
  • ・「安くて美味しい。店員さんが愛想がよく接客も丁寧です」
  • ・「とにかく商品がリーズナブルで店の雰囲気も良く洗練されており、
    子供から大人迄楽しく食事ができる」
  • ・「マクドナルドは、病気の子の親が泊まれる施設などを提供してるから!」
ファンにとってのマクドナルドの「存在」
(価値分析・フリーアンサーより)

業界平均と比較し、未来価値の「貢献」が特に高かったことが特徴的であった。 「いつでも気軽に変わらない味が食べられる」という、ある種のインフラとしての役割を果たしている点や、社会貢献活動への評価も影響しているのではないかと推測される。フリーアンサーからは 『友達(定期的にいく)』『朝の憩いの場(毎日立ち寄る)』など習慣化されていること、また子どもが喜ぶと言う声も多く、「『家族と行く場所』としても大切な存在」であることがわかった。

ファン度について

●『ファン度』を測る2問の設問

設問1:現在の行為/設問2:ファンステージ

●『ファン度』について

設問1(好意度)と設問2(ファンステージ)をかけ合わせ、下記の表のように「コアファン」「ファン」「ライトファン」「未ファン」に分類します。

※第1弾調査では、各ブランドの回答者に対する「コアファン+ファンの割合(%)」を算出し、業界ごとに<最小値/平均値/最大値>をまとめました。

「コアファン」「ファン」「ライトファン」「未ファン」の分類
価値について

●ファンが感じる価値を分類

ファンベースカンパニーでは、ファンがブランドや企業などに感じる価値を「機能価値」「情緒価値」「未来価値」の3つに分類しています。更に本調査では価値の詳細を知るため、それぞれに因子を設定しています。
機能価値に加え、情緒価値・未来価値を伝えていくことで、ファン度が高まっていくと考えます。

昨日価値;商品・サービス・ブランドの特徴/情緒価値:所有・体験を通じて感じるポジティブな感情/未来価値:商品・サービス・ブランドを通して社会・未来に対するイメージ
第2弾調査対象企業・
ブランドリスト
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※業界別ファン度は第1弾調査結果より引用。有効回答数(7業界合計):304,450

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