2026.02.25

得られたのは、確かな手応え。ねぎしフードサービスが、ファンベースカンパニーの定量調査を継続的に行う理由。

株式会社ねぎしフードサービス 
相良 治美さん

  • ファン調査

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東京を中心に、牛たん定食専門店『牛たん・とろろ・麦めし ねぎし(以下、ねぎし)』を展開してきた、株式会社ねぎしフードサービス。「この街にねぎしがあって良かった」と思ってもらえる存在であることを目指し、味づくりはもちろん、接客やお店の雰囲気づくりまで含めた“総合的な価値”を磨き続けてきました。

そうした理念を掲げて歩むなかで、同社が向き合ってきたのが、「自分たちが大切にしてきた価値は、本当にお客さまに届いているのか」という問いです。それを確かめる手段のひとつとして、ねぎしフードサービスでは、2023年にファンベースカンパニーの定量調査を初実施。そして、2025年には、2度目となる調査にも取り組みました。

調査を通じて得たのは、ファンの声によって裏付けられた「ねぎしらしさ」。そして現場で働く一人ひとりの自信や誇りへとつながる、確かな実感でした。今回、同社の専務取締役・相良治美さんに、調査を実施した背景と手応えについてお話をうかがいました。聞き手は、ファンベースカンパニーの佐藤佳奈です。

お客さまの声を聞く仕組みが、独特の企業文化を育む

FBC佐藤ファンベースカンパニーの定量調査を実施する以前から、御社では「お客さまの声」を聞く取り組みに力を入れてこられたと伺っています。

相良さんそうですね。現在、その代表的な手段となっているのが、ご来店いただいたお客さまへのLINEアンケートです。以前は各店舗のテーブルにアンケートはがきを置き、ご協力をお願いしていましたが、現在はLINEアンケートに切り替えました。

ねぎしでは、「Q(クオリティ=おいしさ)、S(サービス=接客における元気さ)、C(クレンリネス=店舗の清潔さ)、H(ホスピタリティ=親切心のある対応)、A(アトモスフィア=活気のある空間)」を『ねぎしの5大商品』として定め、すべてを高いレベルで保ち、さらに磨き続けていくことを目指しています。

アンケートでは、こちらの5大商品の項目それぞれについて、「大満足」から「激怒」までの5段階で評価いただいています。ありがたいことに、毎月数千件もの声が寄せられ、そのすべてに目を通しています。そして、項目ごとに結果をまとめ、どの店舗が「大満足」が多く、どの店舗が「激怒」が多いかを、全て社内共有しています。

また、自由記述欄には、スタッフの名前を挙げて感謝の言葉を書いてくださるお客さまも多くいらっしゃいます。そして、お褒めの言葉をいただいたスタッフを「親切賞」として個人表彰してきました。小さな賞状に、社内で使える商品券を添えるなどしながら、日々の働きを全社で讃える取り組みを続けています。

左:株式会社ねぎしフードサービス 専務取締役 経営品質・財務・総務担当 相良治美さん
右:経営理念の浸透のため、従業員ひとりひとりが「私と経営理念」というテーマで思いをつづったものをまとめた冊子も作成している。

FBC佐藤お客さまの声を仕組みとして社内全体に共有することで、より良いお店づくりにつなげているんですね。こうした取り組みに力を入れられるようになった背景には、どのような考えがあったのでしょうか。

相良さんねぎし独特の企業文化を形づくっている考え方のひとつに、「思い8割・スキル2割」というものがあります。どれだけ優れたスキルを持っていても、そこに思いがなければ、お客さまの喜びや満足にはつながらない、という考え方です。

だからこそ、経営理念や行動指針を明確にしたうえで、そこに込めた思いを、働く一人ひとりにきちんと浸透させていくことが欠かせません。その一環として、ねぎしではアルバイトを含め、採用されたメンバー全員を対象に、ねぎしの大切な価値観や、ねぎしで働く意味を共有するための研修を行うなど、理念の共有に力を入れてきました。

その上で、それが現場で実践できているのかを確かめ、向上につなげていくための仕組みが必要だと考え、お客さまアンケートをはじめました。お客さまから直に評価を受けることで、自信につながったり、日々の励みになったりする。やりがいを持って働ける会社づくりの土台として、この仕組みは機能していると感じています。

ファン比較によって、「ねぎしらしさ」を確かめたい

FBC佐藤こうした企業風土や、お客さまの声を大切にする取り組みがあるなかで、ファンベースカンパニーの定量調査に関心を持たれた経緯について、改めて教えていただけますか。

相良さんこれまでのアンケートを通じて、お客さまからたくさんの声をいただき、現場の励みや自信につながってきた一方で、どこかで「このやり方だけで十分なのだろうか」という感覚もありました。

数字としての満足度や、お褒めの言葉は見えているものの、それが他社と比べてどうなのか。あるいは、ねぎしを選んでくださっている理由の“輪郭”までは、十分に掴みきれていなかったと思います。

また、私たち自身は「ねぎしらしさ」や大切にしている価値観を明確に持っているつもりでも、それが本当にお客さまに伝わっているのか、思い込みになっていないかを、客観的に確かめる必要があるとも感じていました。

相良さんそうした背景のなかで出会ったのが、ファンベースカンパニーの定量調査でした。単に満足度を測るのではなく、「ファン」という切り口でお客さまを捉え、なぜ選ばれているのか、どんな価値が支持されているのかを立体的に捉えようとする考え方に、「これまで見えきっていなかった部分が見えてくるかもしれない」と感じたのを覚えています。

また、パネルの選定や調査対象者の設計も含めて伴走してもらえた点が、とても心強かったです。
「誰に聞くか」から丁寧に設計されているからこそ、結果の信頼性が高い調査になると感じました。

FBC佐藤今回の調査では、「ファン比較調査」として、他社との比較も行っていますよね。競合他社と比べて自社がどう見られているのかを知る、という点についても、大きな意味を感じていらっしゃったのでしょうか。

相良さんはい、その点はとても大きかったと思っています。これまでのアンケートでは、自社単体での評価は見えていましたが、それが他社と比べて高いのか低いのか、どこに違いがあるのかまでは分かりませんでした。どうしても「自分たちの中での基準」で判断してしまっていた部分があったと思います。

飲食という業界の特性上、お客さまは他の飲食店と比較しながら、どのお店に足を運ぶかを決めています。「競合」と呼ばれるようなお店と比べたときに、ねぎしはどんな点で選ばれているのか、どんな印象を持たれているのか。その立ち位置を、感覚ではなくデータとして把握したいという思いがありました。

また、他社比較があることで、「自分たちの強み」もよりはっきり見えてくると感じていました。ただ満足度が高い、というだけでなく、なぜねぎしを選び続けてくださっているのか。ファンという視点で比較することで、ねぎしらしさがより浮き彫りになるのではないか、と期待していたんです。

調査結果から見えてきた、確かな手応えと気づき

FBC佐藤実際に調査を実施してみて、結果をご覧になったとき、どのような発見や気づきがありましたか。

相良さんまず率直に感じたのは、「やっぱりそうだよね」と思う部分と、「ここまで評価してもらえているんだ」という想像以上の部分、その両方があったということです。

接客については、これまでも大切にしてきましたし、一定の評価はいただいているだろうという感覚はありました。ただ、調査結果を見て、他社と比較した中でも、ねぎしは「スタッフの気配り・心遣い」といった点で、特に強く支持されていることがデータとして示されたのは、大きな発見でした。

ねぎしでは接客において、かなり細かいマニュアルを設けていますが、一方で、マニュアルに書かれていない場面で、どれだけ親切な対応ができるかという点も、とても大切にしています。そうした姿勢を各現場が意識し、実践してくれているからこその結果だと思いますし、このデータは素直に嬉しかったですね。

FBC佐藤調査では、「おもてなしを感じたシーンをできるだけ詳しく教えてください」の設問に自由記述欄を設けたところ、本当にさまざまな心温まる回答が寄せられましたよね。

相良さんそうですね。「荷物が大きくなくても、上から布を被せてくれるサービスが嬉しかった」とか、「おかわりの際に、すぐに店員さんが気づいて対応してくれた」といった声など、お褒めの言葉をたくさんいただいて。まさに“嬉しいシャワー”という感じでした(笑)。

また、ねぎしの存在を「身近に感じられるご褒美」や「元気を与えてくれる存在」と表現してくださるファンの方も多く、ねぎしが提供してきた価値が、お客さまの日常の一部として根づいていることが、改めて伝わってきました。

数字だけを見ると、どうしても改善点や次の課題に意識が向きがちですが、今回の調査を通じて、「これまで積み重ねてきたこと」「守り続けてきたこと」そのものが、しっかりと評価されていると確認できたことは、私たちにとって大きな収穫でした。

結果を全体で共有し、浮かびあがった課題に着手

FBC佐藤こうした調査結果について、社内ではどのように受け止められ、また、どのように共有されていったのでしょうか。

相良さんまずは、店長会やマネージャー会などの場で、調査結果を共有しました。単に数字を報告するというよりも、「この結果をどう受け止めるか」「何が評価されているのか」を、皆で一緒に確認することを大切にしていました。

現場から多く聞かれたのは、「自分たちが当たり前にやってきたことが、ちゃんとお客さまに伝わっていたんだ」という声です。

各店舗の店長に向けて、調査内容を全体共有する会を実施。

相良さん調査結果を通して、これまで積み重ねてきた取り組みが評価されていること、そしてその結果として、コアファンと呼べるお客さまがしっかり存在してくれていることを実感できました。そうした気づきが、働く上での自信や誇りにつながっていったように感じています。

また、数字という共通の土台があることで、理念や思いについても話しやすくなりました。「ねぎしらしさとは何か」「自分たちは何を大切にしていくべきなのか」といったテーマについても、感覚論ではなく、調査結果を踏まえて語れるようになったことは、大きな変化だったと思います。

FBC佐藤調査結果を受けて、具体的な実施策として形になったものはありますか?

相良さんはい。調査結果を見て、「これはきちんと伝え直す必要がある」と感じたことがありました。それが、ねぎしが大切にしてきた生産者さんとの取り組みです。

たとえば、ねぎしで提供している麦めしには、福島県会津地方のコシヒカリを使用しています。ねぎしでは、会津地方の生産者さんとパートナーシップを築き、田植えや稲刈りを通じて交流を深めてきました。

ただ調査結果を見ると、ねぎしを高く評価してくださっているお客さまが多い一方で、こうした生産者さんとの関係性や、食材に込めた思いについては、ほとんど知られていない状況でした。味や接客といった体験価値はしっかり届いている一方で、その背景にあるストーリーまでは、十分に伝えきれていなかったのだと思います。

そこで取り組んだのが、冊子の制作でした。生産者さんとの取り組みや、その食材を選び続けている理由を、できるだけ分かりやすく、私たち自身の言葉で伝えられるようにまとめています。現在、この冊子は各店舗のテーブルの上に置かれています。

聞き続ける姿勢そのものが、自分たちの価値につながる

FBC佐藤2023年に1回目となる調査を実施した後、2025年にも2回目の調査のご依頼をいただきました。最後に、ファンの声を聞く調査を継続的に実施されている背景についても、教えていただけますか。

相良さん一番大きいのは、「一度やって終わり」では、あまり意味がないと感じたからです。1回目の調査を通じて、自分たちが大切にしてきた価値が、きちんとお客さまに届いていることを確認できましたが、それはあくまで“その時点”での姿にすぎません。

ねぎしが向き合っているのは、短期的な評価ではなく、長く愛され続けるお店であり続けることです。お客さまの価値観や社会の変化もそうですし、働くスタッフの意識も、少しずつ変わっていきます。だからこそ、「今どう見られているのか」「何が変わり、何が変わっていないのか」を、継続的に確かめ続けることに意味があると考えました。

とはいえ、調査結果を踏まえて、具体的な行動や施策に落とし込むには、ある程度の時間がかかります。1年単位で調査を行うとなると、現実的には少し難しいと感じていて。そうした点も踏まえると、2年単位くらいのサイクルで実施するのが、ちょうどいいのではないかと考えています。

定期的にみることで 、変わらず支持されている点や、より強まっている部分が見えてきました。その結果を受けて、「やはりこの方向で進んでいこう」という確信を、改めて持つことができたと思います。

これからも、ねぎしらしさを大切にしながら進んでいくために、定期的に調査を行い、お客さまの声と向き合い続けたい。そうした姿勢そのものが、ねぎしの価値につながっていくのではないかと考えています。

FBC佐藤ねぎしさんが大切にしてきた思いや取り組みが、ファンの声として見えてきたことを、私たちもとても嬉しく思いました。今日のお話を通して、その歩みをご一緒できたことに改めて感謝しています。本日はありがとうございました。

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インタビューをした人

Profile佐藤 佳奈ファンベースプランナー

玩具メーカー、食品メーカーなどを経てファンベースカンパニーに入社。プランニングの他、ファンベースカンパニーのサービス開発、ファンの行動心理の研究などを担当。たくさんの企業の方に「ファンを喜ばすことほど、楽しい仕事は他にはない!」と感じて頂けるよう、日々励んでいます。スポーツ観戦と海が大好き!好きなものをオススメしがちです!

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